インプラントの専門家の意見
前歯である一番二番三番の歯すべてをまっすぐに作ることで、全体が左に傾いたように見えるのを防ぎました。
奥歯は、下顎に合わせて傾斜した岐合を作ることで、噛めるような給義歯に仕上げたのです。
中には、まっすぐにスマイルラインを整えると、岐合が難しくなるケースもあります。
この場合は患者さんに、「見た目が曲がって見えていても噛めるようにするか、見た目を優先して機能低下を我慢するか」を選んでもらいます。
総義歯は機能に優れているだけでなく、審美的な面も要求されるのです。
機能校合で外れにくい入れ歯ができる総義歯は使っているうちに、口の中で前後左右のバランスが崩れてくることが、ままあります。
総義歯の下には軟組織である歯肉があり、その下に骨などの硬組織があります。
軟組織と硬組織の間には厚みがありますが、その厚みは一定ではありません。
総義歯をつけて噛むと軟組織があるので当然沈みます。
軟組織の量が多い部分は沈みが大きいのですが、そうでない部分があまり沈まないため、水平のバランスが崩れることがあります。
また、硬組織(歯槽骨)には入れ歯が当たっても痛みを感じませんが、軟組織(歯肉)が薄いところで直接強く当たると痛みがあります。
そのうえ強く当たっている部分は、骨の吸収が進むので高さを合わせようという生体反応が起こります。
つまり、骨の吸収がいっそう進むのです。
自分の歯で噛んでいるときも、常に骨のリモデリング(再生)が行われています。
破骨細胞が骨を壊し、骨芽細胞が骨を作ることを繰り返し、常に新しい骨が再生しているのです。
総義歯の場合は、軟組織の量の関係で圧力にばらつきがあるだけでなく、骨の状態が正常ではなくなっているので骨は吸収されます。
骨が吸収されると総義歯の辺縁と軟組織の間に空気が入りやすくなります。
噛んでいるときは外れないのですが、笑ったり口を開けたときに外れやすくなってしまうのです。
これを直すために、沈み具合の圧を調整する必要があります。
といっても、強く当たったところは少し削り、ほとんど沈まない部分はそのままというわけにはいきません。
勘と経験だけでやってしまうと、使う患者さんの生理や噛みぐせに合った総義歯はできません。
そこで、総義歯がある程度できたところで、土台の内面の一層を削り、そこにハイドロキャストなどの軟らかい物質を入れておき、患者さんに実際に使ってもらいます。
そうすると、たくさん当たった部分は沈み、それほどでもないところは沈み方が少ない状態になるという具合で、使用中に総義歯の床内面にその機能状態や、総義歯の沈下量の差が表現されます。
ある程度使用してもらった後に、一度外して技巧室でひずみがないように調整して完成させます。
歯科技工士の技術が問われるところです。
使いながら調整していくことで、圧力が一律にかかる機能的な総義歯を作っていくわけです。
この方法で作ると骨の吸収が少ないために、長期に安定して使うことができます。
しかし、総義歯の高さがあり、見た目もよく、辺縁もぴったりと張りつき、噛んだときに一律に沈むように作っても問題は起こります。
上は、歯の接触が喰頭とくぼみの噛み合わせ。
下のように表面が平らでも噛み合わせにかかる応力は同じことを表している。
問題は、歯です。
本来、歯はそれぞれでっぱりと引っ込みがあり、それが組み合わさるように上下で噛み合います。
上のとがった歯が下の歯の谷間で噛み合うことで阻囁効率を高めているのです。
しかし、総義歯は自分の歯のようにかちかちと上下で噛むわけではなく、個人のくせによって顎を回すように岨噂したり、片側で噛んだりといったダイナミックな動きをします。
もし、いつも片側だけで強い力で噛んでいると、噛んだ側だけに力がかかり反対側は浮いていることになります。
両方で噛んだときには安定している総義歯も、片噛みのせいでバランスが崩れてくることもあります。
これを考慮しないと、今度は総義歯が転覆もしくは横にずれることになります。
横揺れが続くと総義歯の粘膜面と顎姪の粘膜がこすれて痛みが出るだけでなく、やがて骨が吸収されてしまうのです。
稔義歯はきちんとした理論に基づいてさえいれば、十分に機能的に作ることができます。
もし、あなたの総義歯に不具合があるとしたら、それは総義歯の理論から外れた作り方をしているからです。
不具合の原因を探り、理論に基づいて作り直せば、使い勝手のいい総義歯になります。
まずは、どこが理論と違っているのか、その原因を探ることが大切です。
総義歯は美しくなければ意味がない世の中に総義歯をせっかく作っても使わない方も大勢います。
食事のたびに総義歯を外すという方もいらっしゃるほどです。
噛めないというのが一番の理由です。
中には総義歯で食事をすると「美味しくない」「味がしない」という理由の方もかなり多いのです。
総義歯にして味覚が変わるわけではないのですが、暑い日に冷たいビールを飲んだときに実感できる歯にしみわたる冷たさというのは、さすがに味わうことはできません。
しかし、本当に合っている総義歯ならば、美味しさを実感することは可能です。
「甘」「酸」「辛」「苦」という味は主に舌で感じていますが、それ以外に見た目や香りなど五感を総動員して味わいます。
ところが合わない稔義歯をしていると、それが気になって、五感で食事を楽しむことができなくなってしまうのです。
スマイルラインは、笑ったときにできる、上顎の歯肉のラインと下唇のラインカーブが似ているほうが、美しく見える。
患者の顔に合った形や色、大きさの歯が並ぶのが美しいとされる。
現在は、総義歯の素材も進歩しており、口蓋を覆う部分にメッシュ素材を使うことで広い範囲で味わうことができるだけでなく、口蓋に吸いつきやすくなっています。
もちろんこの場合も、床の外形が適切で、かつ噛み合わせが適正であることがポイントなのは言うまでもありません。
何度調整しても総義歯が当たって痛くて不快だという場合は、下顎の関節が前にずれたまま総義歯を作ったことが原因であることが多いのです。
岐合が合っていないのですから、岨囁筋や校合筋が本来ではないところに引っ張られ緊張します。
この不正岐合が続くと、頭痛や肩こりなど身体の不調が出てきます。
また総義歯は、笑った口もとが美しくなければ人前では使う気持ちにならないでしょ1つ。
歯科における美しさの基本は、歯と歯肉がバランスよく並んでスマイルラインが美しいことが理想です。
笑ったときに上唇から歯肉が少し見えて、その人の顔に合った色と形の歯が並んでいることが求められるのです。
上の歯では、前歯の先端から一〇・五ミリ以下のところに歯肉が並んでいなければ美しく見えません。
また、ガムラインといって、歯と歯肉の境目のラインが形よくきれいなカーブを描いているように作ると見た目が美しくなります。
また、歯と歯の境目は、貝殻のカープのようなスキヤロップ型になっているのが理想です。
患者さんごとに、前歯列が上唇よりどの程度見えるか、笑うとどのような形で見えるか、歯間のボリュームはどの程度で、どのように口唇や頬筋を支えるかを考えながら作られた総義歯であれば、人前でも笑顔を見せることができます。
つまり、患者さんの人生や人格を総義歯で表現することができるのです。
このように理論に基づいて作られた総義歯は、日常的に使うにはまったく問題がありません。
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